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       Eietsu Tamura

      ENIACと同年齢の水瓶座。日本IBMに入社以来、原子力、自動車のCAE、21世紀になってライフサイエンスとHPCの主な活用分野に関係してきた。ただIBM SP1までは直接マシンに触ってきたものの、ここのところはThinkPadとiMac/iPhoneに触るのが関の山、もっぱら応援団に回っている。
      出身が核物理の実験屋なので雀100まで—気持ちはScientistのつもり。2008年末に日本IBMを卒業。
      シャロー・コンピューティング LLP, 代表パートナー、他 (現在)
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●SC11 (その1)

・Deltaの直行便で、定刻1.5 Hr遅れてのシアトル到着から早一日たち、今日日曜日は時差ボケ調整日。昨日は小雨、今日は曇天に寒風というように、この季節、気候はよくないです (だからSC11のような大イベントができるということらしい)。楓とおぼしき樹木があちこちで紅葉していますが、色は黄色と赤のニ色のみ。日本の複雑な紅葉とはだいぶおもむきが異なります(写真: タコマ空港からの車窓)。

・タコマ空港からの交通便はよく、空港始発ウェストレーク終点の4両連結電車に乗って終点で降りるとホテルの間近です。料金2.75$と格安でした。日本からの出展者のみなさんも大勢乗車。

・日曜朝は通りを隔てたシアトルコンベンションセンターのSC11のレジストレーションに参加バッジを取りに行きがてら、展示会場 (4Fと6Fに分割されている)をちょっと見ましたが、富士通のようにおおきな展示をするところはまだ設営中だったりと、きょういっぱいは忙しそうです。明日月曜夜に展示会場がオープンします。京のある理研計算科学研究機構も今年は独自ブースを構え、グランドチャレンジと戦略分野のプロジェクトのパネルや京のラックなどを置いていました。

・午後は時差調整かねて、地元シアトルシンフォニーの演奏会へ。パイプオルガンのある立派な会場です。開演前の待ち時間にロビーで飲んだなみなみと注がれたワインが効いて思わず眠りそうになりましたが、演奏は普通といったところか。客席はかなりのシニア層が80%以上を占め、ホールの座席には白いマッシュルームがいっぱい生えているかのようです。日本のように白髪を染める習慣はないのだと、へんなところで感心してしまいました。(写真: 開演直前の音合わせ)

・その後波止場にあるCrab Potという蟹レストランによってきました。その帰り道、これからどこかが主催のパーティに向かう顔見知りの方とちらほらすれ違うなど、ここシアトルのダウンタウンは少しずつSC11の雰囲気になってきています。

(明日に続く)

●夏の節電対策の結果

ちょっと横道になりますが、5月に我が家の節電策のことを書いていたので、やはりその結果について報告をしないわけにはいきませんね。

・経済産業省が進める家庭の節電アクションに登録していたので7月、8月、9月の対前年比での自宅の節電量などを左図のように表示してくれました。

・これを見ると8月、9月は50%以上を削減できたため低すぎてグラフに示されていません。今年の夏が昨年ほどは暑くなかったことを差し引いても、5月に書いていた対策が十分効いたのがわかりました。

・東京電力は以前から経産省のとは独立にTEPCO電気のシェープアップカルテというサービスを行なっています。これも会員登録していたので最新の二年間のデータを毎月更新してくれています。(経産省のは夏の三ヶ月間だけ)。

左下の図がその一部ですが、棒グラフで昨年(薄い青)と今年(濃い青)に加えて、赤の折れ線で東電管内の同じアンペア契約世帯の平均値を教えてくれます。両方とも同じデータを元にしているわけですが、東京電力の方が実用的でわかりやすいです。官庁と企業のサービス精神の差?

ここでは省略していますが、もちろん使用電力量などは両者とも表示されます。

左のデータを見ると、去年は無造作に平均以上の電力を使っていたのが、ことしは平均をも下回り、相当節電できていたというのが明瞭にわかります。

・去年にくらべ今年は特別に辛抱したという実感はないことから、一般論としては、対策の効果は感にたよらず、こうしたデータを見て確認するのが肝心と言えます。

・さて懸念したとおりというか、この冬は関西電力が10%、九州電力が5%の節電数値目標を立てざるを得ないほど西の状況が厳しくなってしまいました。それ以外の電力各社には数値目標はないということです。

・しかし我が家は冬が年の電力消費のピークなので、もし25%くらい節電できれば節電絶対量としては夏の節電量と同じくらいになります。東電には売上減少になって迷惑かもしれませんが、こうした夏の節電対策が冬も効果的につづくことを密かに(?)期待しています。

●と言っている間に、京がLINPACK 10 PFlopsの目標値達成

・SC11のTOP500発表までは伏せるだろうと思っていたところ、スーパーコンピュータ京のLINPACK性能値が目標の10PFlopsを超えたことが今日理研から発表されました。詳しい内容は理研のプレスリリースに出ています。

・先週は山東省済南市でHPC China 2011があり、神威蓝光 (英語ではSunway BlueLight MPP)という中国の知的所有権によるという16コアCPU申威 (英語でShenWei processor SW1600)を使ったピーク性能1.07PFlopsのスーパーコンピューターが済南国立スーパーコンピューターセンターでお披露目されています。写真を見ると中国もけっこう大らかにチップやボードも見せています。

・神威蓝光は2011 China Top100では天河一号に続いて二位になります。

・HPC China 2011では小柳義夫神戸大特命教授がキーノートスピーチ“HPC and Computational Sciences in Japan – toward ExaFlops”をされていて、面白い現地レポートが公開中です。

中国はなんでもありの印象がありますが、HPCの分野でも最近とみに面白い感じになってきました。

(蓝光にBlueLightをあてるのは何かしまらないと思っていたら、もともとはBlueRayだったようです。これだとよくわかりますが、どうやらBlu-ray Diskと混同されたくなかったよう。)

● ことしもSC11の季節

ことしももう11月になろうとしていますので、久々のポストになってしまいました。日本もあいかわらず厳しい状況ですが、今年は世界もそれ以上に揺れ動いている感がします。こんなに円高になるとは-大変化です。個人的には大損失。

さて、11月はというとSC11が11月15日(火)のキーノートを皮切りにはじまります。ことしの開催地は787の初飛行がニュースになったばかりのボーイング社もあるシアトルです。
いつもはぎりぎり月曜発でしたが、今回は早めの11月12日の土曜に直行便で行くので週末シアトルをぶらぶらできそうです。

NCSAにIBMが納めるはずのBlue Watersはプロジェクトそのものが打ち切られたためことしのSC11への興味がだいぶ損なわれてしまいました。とは言えIBMは自社ブーストとは別にTVのゲーム・ショーJeopardy!で賞金王に勝ったWatson (Blue Watersと同じPOWER7サーバー)のブースをかまえ、希望者と対戦させるイベントをします。だいぶ前にDeep Blueがチェスの世界チャンピオンのカスパロスを打ち破った時と同じ趣向です。

IBMはCEOがパルミサーノからSE出身の生え抜き女性ロメティの交代を発表したばかりですが、報道によるとロメティはWatsonを高く買っていて、多分野に展開させるつもりとか。

ともあれ、今年も例年同様に展示会場には日本から37ブース参加しています。ことしの注目は京がどこまで性能を伸ばしたかということになるでしょうが、LINPACKによるTop500やGreen500以外にアプリケーションに近いHPC Challengeの性能が発表されるのかどうか、さらには京を使ったナノサイエンスのアプリケーションRS-DFTのGordon Bell賞ファイナリストの最終性能値も気になります。京のライフサイエンス・アプリケーションからもGordon Bell賞ファイナリストが出てほしかった気がしますが、ネクストチャンスに期待しましょう。

そのGordon Bell賞ファイナリストですが、4編のうち2.5編が日本からのものです。ひとつが京の開発チームと筑波大チームなどによるナノの第一原理計算 (RS-DFT)に対し442,368コア(!)を使用してピーク性能の43.63%をイテレーション部分で実現したという論文、もうひとつが東工大チームによるGPGPUを使った単精度3次元樹枝状凝固シミュレーションで1.017 PFlopsを達成した論文です。残りの0.5というのはイタリアと東工大合作のマルチスケール血流シミュレーションのフレームワークの論文です。

技術論文 (paper)も日本から二編採択されていて、一つが原子力研究機構、もうひとつが東工大からのものです。東工大はGordon Bell賞ファイナリストといい、昨年のスチューデント・ベストペーパー・ファイナリストに続き一段と好調です。

さて中国ですが、中国からの展示は倍増して5ブースになり、形だけの展示という印象が強かった中国科学院に変わって今年はChina Grid、Technical Committee of HPCという大所帯のコンソーシアムが参加します。中国メーカーもInspurと子会社のHSS L state key labが出展、じわじわと存在感を増してきています。技術論文も二編採択されています。

その他韓国、台湾、シンガポール、インドも例年通り1-2ブース出展していますが、それに加えて北朝鮮が1ブース出展することになっています。NIMSとなっていますが正体不明。はたしてビザをアメリカ政府が発給するのでしょうか。(これは私の早とちり。Republic of Korea (韓国) とあるのをDemocratic People’s Republic of Korea(北朝鮮)と感違いしました。なのでNIMSは韓国のNational Institute for Mathematical Sciences (NIMS)(11/5))

ざっとこんなところですが、学生クラスター競技 (Student Cluster Competition)のランチョン・ミーティングに多少かかわってしまったので、初めてですがこのコンペも見てみようかと思っています。

●祝! ! 京のTOP500一位、そしてこれをテコに。

・次世代スーパーコンピューター京(K computer)がTop500のtopになって半月たち、エクサスケール・スーパーコンピューターに向けた文部科学省の動きもぼちぼち始まってきたようです。

・ともあれ、スーパーコンピューター京(K computer)が完成予定の1年も前にTop500リストのトップを狙える状況にたどりつけたのは、いままでのいきさつー2009年5月連休のころのNECの契約打ち切り、同11月13日(金)の事業仕分けによる開発費削減、そして今年の3.11大震災によるケーブル供給メーカーなどの被災ーを考えるとたいへん驚異的なことで、理研はもとより、なんといっても富士通のトップから開発者まで不退転の気持ちがなければとても達成できなかったことは容易に推察できます。
こうして勝ち取ったtopは、だれがなんと言おうと”すばらしい”につきます。

・振り返ってみると、ここ二年ほどは中国のスーパーコンピューターへの急速かつ旺盛なニーズがTop500の関心事のひとつになっていて、事実2011年6月時点でTop500のうち61システムが在中国と、半年前の約50%増とその勢いは続いています。(これに対して在日本のシステム数は26と変化なし)。

・日本のコンピューター企業にとっての大きな問題は、その在中国の61システムのうち48システムはインテルチップ使用のIBM製大型汎用クラスター・システムであること、その61システムの中には富士通製だけでなく日本企業製のものは皆無であるということでしょう。

・この現象は日本国内についてもさほど例外ではなく、26システムのうちIBM製は6システム(これ以外にIBM POWER6/POWER7プロセッサ使用の日立製スーパーコンピューターも3システムあり)、一方富士通製は6システム、NEC製が2システム、日立製のopteronチップ使用大型汎用クラスター 1システムというのが現実です。

・今回富士通が京で勝ち取ったTop500一位というバリューが、他の日本製品同様に購買欲旺盛な中国でうまく活かすことができ、同社の大型汎用クラスター・システムの中国での販売へつなげられるかどうか、これからの日本のHPCの活性化にも大きな影響を与えるはずです。


まあこうした状況を見ると、IBM卒業生としてはよくぞIBMがここまで来れたなあという思いも強いですが、世界のHPC産業、コミュニティを元気にするためには、Top獲得というバリューをてこに、富士通はもとより国産各社にも果敢に中国をはじめとした海外マーケットに打って出てほしいものです。

エクサスケール・スーパーコンピューターに向けた助走は欠かせないとはいうものの、日本のコンピューター業界の競争力がもっと強くなり、マーケットで海外勢と丁々発止しているという前提が成立しないことには絵は書いたものの、実もとらずに終わり、ということになりかねません。

● 節電対策

・4月に入ってどうやら被災地や計画停電区域の大学のスーパーコンピューターも
夜は100%のリソースを提供して稼働しているようです。
ただ5月に入ったいまでも日中の電力使用を遠慮して、フルにサービスを提供できない
スーパーコンピューターが残っているのは、いかにももったいないですね。

・HPCねたではなくなってしまいますが、夏場の電力事情を考えるとひとごとでは
ないので連休にAmazonから3,750円のワットモニターを買って片っぱしから家にある
OA機器と家電製品を測ってみました。
こまめにスイッチを切る方ではないこともありますが、待機電力はちょっと予想して
いないくらい大きな値でした。

・まず机の上でスリープ中のiMacなどOA機器類が合計で62Wを24時間休みなく消費中。
(iMac,外付けHD,NAS,プリンター複合機その他)

・それらに加えて家電製品が155Wを24時間休みなく消費中 (プラズマTV,レコーダー、
冷蔵庫、PS3,Wii,温水便座その他)。両方合わせてなんと217W。
これでは1-2年かけて白熱電球をLED化してきた効果も半減です。

・このうち冷蔵庫の50Wを除いた分の167Wは正真正銘の待機電力なので、
さっそくスイッチ付きのコンセントタップを買ってきて接続し直し、
使わない機器はOFFにしました。計測できなかったものの、家庭の待機電力で
最大と言われている風呂の給湯パネルもふだんはOFFに。
これらの処置で待機電力は1/3以下になったはずです。

・今回測ってショックだったのは、のど・肌加湿モードで冬場に24時間休みなく
動いていた二台の加湿器が合わせて400Wも消費していたこと。

・その他にも、プラズマTVが画面の明暗で消費電力が大きく変化すること、
iMac (28インチ)の消費電力は100W前後と大きいが、スクリーンを消すと
60W程度に落ちること(写真。iTunes利用だけのときはお薦め)、Thinkpad x41は
27Wとやはり格段に消費電力が小さい(さすが日本製)、掃除ロボット ルンバが
待機中に30Wも消費している(さすが米国製?)ことなども学習。

・こうしていろいろデータを得たものの、冷暖房を一手に引き受けている肝心の
エアコンが20KWコンセント使用のため15KW仕様ワットモニターでは測定できない
ことは誤算でした。

・自宅の月毎の電力使用を見ると毎年1-2月が最大ピークになり、これを1.0とすると
8-9月が二番目のピークで0.6程度(去年は9月も暑かった!)、今の季節が最低で0.3-0.4
程度です。電気中心の家庭はおそらく似たような傾向だと思います。
暖冷房のための電力削減対策をしないとほんとうの省電力にはならないのです。

・そこで地元のガラス屋さんに二重窓化による断熱工事、構造上それができない窓には
遮熱真空タイプの窓ガラスへの入れ替え工事を発注してみました。
効果が現れる7月からの好結果を期待していますが、さてどういうデータが
得られるか。




------------------------------------ またも唐突な首相の一声で東北、関東の電力不足が中部にも伝播しそうな予感。 さらにそれが関西へとドミノ倒しのように拡大させてしまうのではないかと 心配させてしまうのが今の政府の不徳なところなんでしょうね。 官房長官には明確なメッセージでいっそう頑張ってほしいものです。

● 心臓に悪い、原子炉事故についての断片ニュース

3/11以来、毎日のように発生している突然の原子炉事故の断片報道は本当に心臓によくありませんね。みなさんはどう対応しているんでしょうか。

以下は私なりの対処法:

(1)気になる原子炉本体の状況については、若い時に買った原子炉安全性の本にある、原子炉停止後からの放射線強度変化と核分裂生成物からのエネルギー変化をプロットした図 (下記)を書いて時折り見ていました。
この本はPWR(電気出力1,000 MW)を評価したものなので、福島のBWRとは多少違うものの、軽水炉は軽水炉なので大同小異、様子を推測するには十分です。
この図では原子炉停止時から23日経った今、原子炉内のヨウ素・臭素の放射線強度は、原子炉緊急停止直後の約1%まで減少し、核分裂生成物による原子炉の全熱出力もやはり停止直後の約2%に落ちていることを示しています(東電その他の緊急チームはよくここまで持ちこたえてくれました!!)

要するに事故発生時の熱的に危うい状態も一日たつごとに軽減されるので、この図を見ると、あたかもコンパスを見ながらの航海で大局的な現在位置を把握できたと同じ気になり、落ち着くことができます。後は、難航している放射性物質の閉じ込めに尽きますが、この図を見ると1年間閉じ込め続けると原子炉の全放射線強度は1%に落ち、10年で0.1%になります。なので、こちらは当然長期戦です。

(2)環境放射能の長期的影響については、わたしのように昭和29年前に生まれた世代はたっぷり10年間、それ以後の人も大なり小なり米ソ仏その他の国の大気圏核実験からの放射性ちりの影響を受けていますから個人的には検証済な話。風評など無縁にできます。これにはWebに公開されている当時の原子力白書の内容をじっくりかみしめるのがいいです。家族も、「えっ、子供の時にもうこんなにあびてしまっているんだ」と納得。(それに20代には加速器実験でガンマ線を一般の人よりも多くあびているしね。)

(3) 余談ですが、秋葉原でふだんガイガーカウンターを購入する人はがん療養目的で玉川温泉に滞在する人だと何かで読みました。私も玉川温泉はひいきで、去年も行きましたがPH1.2の源泉だけでなく、岩盤浴の場所が確かマイクロシーベルト/hrのオーダー、最大の場所で12マイクロシーベルト/hrという放射線量の環境下にあります。そうした方のガイガーカウンターの購入目的は、コペルニクス的転回というか、より高い線量の岩盤浴の場所をさがすためというのにはのけぞってしまいました。

急性の放射能障害についは明確で、いまさらいうまでもありませんがそれに対し、癌を引き起こす多種多様の工業化学物質やタバコなどが環境に存在する現代社会で、もともとよくわかっていない癌発生への微量放射線吸収の公衆への長期的影響を、風評被害という社会的悪影響を避けつつ行政はどう評価して使うべきなんでしょうか。
物理現象と違って、人間を相手にするのはいろいな意味で多様性が大きいため本当に難しいですね。

● アルゴンヌ国立研究所も10PFlops- IBM正式発表

・IBMがやっと10PFlopsのBlue Gene/Qが米国アルゴンヌ国立研究所に導入されることを正式に発表しました。 -> http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/33586.wss

・名称はMiraで、2012年に稼働するとしています。(こういう書き方をする場合は2012年末に稼働するというニュアンスが強い)。

・SC10でBlue Gene/Qのチップ、ボード、ラックが展示されていたので正式発表は時間の問題でしたが、そのときの展示パネルには16コアのプロセッサーをラックあたり1,024個搭載し、Sequoiaシステムが96ラック構成で20PFlops (理論ピーク性能)、Miraの方はその半分の48ラックで10 PFlopsとなってました。Sequoiaシステムはローレンスリバモア国立研究所に導入される予定のシステムです。
・この写真は1/4スケールモデルで、4ラックのように見えます。これが12列ならぶと48ラックになりますから、10PFlopsといってもたいしたスペースにはなりませんし、搬入も短期間ですみます。

・今年から2012年にかけては実際のアプリケーション性能で1PFlopsを実現するというイリノイ大NCSAのBlue Waters (IBM POWER7プロセッサー)も現れる予定です。

・日本の京もそうですが、これらはすべてGPGPUのようなアクセラレータを使わないシステムです。ユーザーから見るとCUDAなどへのアプリケーション・ポーティングをしなくてもいいぶん早く結果が得られるので、地球科学でもライフサイエンスでも工学でも材料科学でも、ともかくいろいな分野でアプリケーション実成果獲得一番乗り(?)のための世界的な競争に突入していくでしょう。

・中国のTianhe-1Aのように、ユーザー利用を度外視してでもTOP500 1番の記録達成のためにGPGPUを採用できたケースは論外として、今後アクセラレータ付きスーパーコンピューターとそのためのポーティング投資をどう判断していくかは悩ましい問題になりそうです。

・ということで、来週の理研シンポジウムでの東工大 松岡先生の講演は興味深いものがあります。題して、「GPUは専用アクセラレータではない-ポストペタスケールへのスケーリングへの本質的な変容」。力が入っています。

・加えて、理研 横川さんの「京速コンピュータ「京」の開発状況について」も必聴でしょう。まだ席には余裕があるそうです。

・理研シンポジウム-> http://accc.riken.jp/HPC/sympo/index/program.html 

● 2010年のCheerHPCブログ総括?

無料でここを貸してくれている大家さんのWordpressからご丁寧に2010年の当ブログの総括が届きました。公開してよとのことなので素直に従うことにしますが、英文なので一部日本語にしました。
まずヘルスメータというのがあって、それによるとそこそこ健康 (グリーン) でひと安心・・実はけっこうサボってしまったという意識あり。

Healthy blog!

The Blog-Health-o-Meter™ We think you did great!.

Crunchy numbers (パリパリと噛じった数)

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2010年に16,000回のビューが有って、それはコンテナ船で4隻相当だとか・・The average container ship can carry about 4,500 containers. This blog was viewed about 16,000 times in 2010. If each view were a shipping container, your blog would have filled about 4 fully loaded ships.

2010年のポストは11回 でした・・In 2010, there were 11 new posts, growing the total archive of this blog to 231 posts. There were 7 pictures uploaded, taking up a total of 653kb.

最もビューが多かった日は10月4日だったようです。心当たりがないのでたぶん偶然でしょう・・The busiest day of the year was October 4th with 249 views. The most popular post that day was ●SC08 – その他.

どこから来たアクセスが多いか?

訪問する側のトップのサイトは2010年は slashdot.jp, a.hatena.ne.jp, Google Reader, ime.nu, そしてgoogle.co.jp.これらは使ったことがないので分析省略。

キーワード・サーチで来られる方もいて、そのキーワードで代表的なのがpower7, sc10, cheer hpc, cheerhpc, and blue waters ibmとあります。なるほど。

2010年はかなりサボってしまったなという気がしますが、2011年も諸般の状況からたぶんこんなペースになるかと思います・・・。

Attractions in 2010

最後に2010年で最も惹きつけたポストが以下。2008年、2009年にポストしたのも見られているのは意外でした。なるほど・・・These are the posts and pages that got the most views in 2010.

1

●SC08 – その他 November 2008

2

●Blue Waters用POWER7 November 2009

3

●「世界を制した”超高速”日本製コンピュータ」がなぜ今? (1) March 2010

4

● SC10はNew Orleans August 2010

5

●「世界を制した”超高速”日本製コンピュータ」がなぜ今? (2) March 2010

● 新年おめでとうございます

新年おめでとうございます。

New OrleansでのSC10の後は、なにやかや、結局大晦日の15:00ごろまでその後片付け仕事にかかりっきりになってしまいました。ともあれ、いまはのんびり。

・New Orleansのフレンチクォーター界隈は思っていたよりも滞在しやすい感じで、食事、治安もよかったし、ぶらぶら散策なども楽しめました。

・SC10については小柳先生による恒例のオヤナギレポートが復活、あのテンポの良い名文も変わらずで必読です (URLはhttp://olab.is.s.u-tokyo.ac.jp/~oyanagi/reports/SC2010.html)。

・さて昨年2010年のHPC界はというと、私の印象ですが、ひとことで言うと
Transformation かなと。日本では次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクトがHPCインフラストラクチャ (HPCI)へと舵を切り直したし、国際的には中国が、TOP500の1位を初めて占めた年でした。

・もっとも、形だけではないか、という声が聞こえてきそうですが、どちらにとっても今年2011年が本物になれるかどうか挑戦の第一歩の年。

中国HPC事情はいろいろ様々です。その中でハイエンドのスーパーコンピューター開発については、中国オリジナルで中味が完成するのを待っていてはらちがあかないので、できる資源(人・金)を使って最高の外見を作る方を優先させているふしがあります。

・そこが国産技術という中味で1位を複数回取った日本と異なる点で、米国に与えるインパクトの度合いは日本の時とは全く違います。

・今年中に128 GFlopsの中国開発CPU、龍芯-3Bを使ったDawning 6000A スーパーコンピューターが出てくる予定なので、本当の中国の実力がわかるのはこれからです。

・しかしTOP500に載っている中国スーパーコンピューター・サイトのほとんどがIBM、HPのクラスター製品という事実は一朝一夕には変わらないでしょう。



SC10には今年もThinkpad x41 tabletはもたずiPhoneと一眼デジカメという軽装で済ませましたが、老眼が進む中3.5インチ画面が小さく感じてきたので、暮れに7インチのGalaxy tabも追加。アンドロイドですが、iMac上のiTunesと相性がよかったりと、私の利用方法について言えば、思っていたよりも進んでいてまずは満足です。それに文庫本程度は快適に読めそうなので電子書籍にも期待。