● SC11 (補足など)

・ ということで日本に戻ってきましたが、来年のSC12は冬季オリンピックも開かれたことがあるソルトレークで、11月10日-16日に開催されることが発表されています(写真)。

今回のSC11は京の圧倒的性能が目立った機会だったわけですが、これからはこの評判をてこに富士通がどう商用機PRIMEHPC FX10などの海外展開を成功させるか、また、京のアプリケーションからいかなる成果がもたらされるかに関心が移ってくるでしょう。

・先週のかけあしの紹介でもれたところを以下に簡単に紹介します。

      ・写真は筑波大が新しく今年の秋からスタートさせたGPUベースのHA-PACSのサーバーの展示です。
      これも一部の専門家からはたいへん興味をもたれ、質問をされていました。

      中国の展示ブースは今年は5ヶ所に増えましたが、その中のひとつは無展示とあいかわらずバラツキがあるものの、写真のInspur社は中国風の特徴的なブースを設営して大型SMPサーバーの売り込みをしていました。


      ・一方これはSunway スーパーコンピュータを説明していた中国HPCTCのブースですが、バナーをいくつか展示しているだけです (写真)。ただ専門家が1-2名待機していて質問すると詳しく説明してくれます。

      ChinaGridのブースでは地図に中国のグリッド拠点を書いたポスターがある粗末なものでしたが、こちらもやはり専門家が1-2名待機して質問をすると説明をしてくれますが、けっこう不在のときも多いようでした。


      とはいえ、来年はヒトゲノムの解析で世界的な、北京ゲノムセンター (BGI)が展示ブースを設ける動きもあり中国の存在感はHPCでも着実にますでしょう。

      学生クラスター・コンテスト (SCC)は台湾メーカーの

      AcerとNVIDIAにサポートされた台湾の国立清華大学が優勝しましたが、横にあるのがそのクラスター。クラスターのセットアップはメーカーが行い、課題アプリケーションのチューニングなどを学生が行なって二日以上に渡るクラスター計算の結果で勝敗が決まります。写真は優勝が決まった後の国立精華大ブース。
      来年はぜひ国産メーカーがサポートして日本の大学が海外武者修業体験をしてほしいものです。

      ・最後がGordon Bell Prize (Peak Performance)の賞状。

      理研ブースに展示されていたものです。内容のアブストラクトによると、著者は理研、筑波大、東大、富士通の面々となっています。

(SC11 完)

● SC11 (雑感)

・今回は会場の徒歩圏内に滞在ホテルがすべてあったので、非常に便利でしたがSC12のソルトレークではさらに近いだろうとは知人の弁。

・このところSCの参加者登録は、どこでも出入りでき撮影も自由なプレスの資格(写真のMediaというのがそれ)にさせていただいているため、のびのび動けましたが、広い会場の4Fと6Fの行ったり来たりは相当疲れたというのが正直なところです。しかしその中をクルマ椅子で普通に移動している研究所幹部がいたりして、米国人のタフさと懐の深さを感じました。

・SC11の中身については、参加者が毎年増えているのに聞きたくなるものが少なくなってきたという日本からの参加者の声も聞こえ、個人的にも同感する所がありました。いまは来年に期待です。

・オフタイムですが、シアトルは海に面しているせいか、牡蠣や鮭といったシーフードがもちろんいいわけですが、しかしステーキハウスもひけをとらないくらい目立ちます。NYほどではないでしょうが肉もおいしいと評判なので、近くのMORTONという店で12オンスのフィレを焼いてもらいました。よくあるポテト山盛りという店ではなく、分厚いフィレ肉に加えて野球帽ぐらいもあるおおきなパンとバターがついているだけですが、このパンもなかなか出会えないよいものでした。十分満足。

(以上)

● SC11 (その6)

・今日の3時で展示会場が終了し、後はテクニカルセッションが今日、明日と続きます。

・さて注目のGordon Bell賞ですが、今日の午後1時すぎに発表と表彰が行われ、京を使用したRSDFTの論文が順当にピークパフォーマンス賞を獲得しました。理研ブースでは論文執筆者ほか関係者一同たいへん喜んでました(写真)。これではこのSC11でのスーパーコンピューターに関する賞を完全制覇したことになります。

 

 

 

 

 

 

 

Gordon Bell賞はピークパフォーマンス賞以外に、その年にふさわしい特別賞的な賞を設けますが、東工大のつばめのチーム(写真)がSpecial Achievements in Scalability and Time-to-Solution賞としてそれを獲得したため、日本からふたつも受賞という近年なかった、たいへん顕著な成果をあげたことになります。

 

 

 

 

 

 

 

Student Cluster Competitionも結果が発表となり、台湾の国立精華大が優勝しました。

・さては本当に予想通りの成果をSC11で示したわけですが、国力に関係する分野のため、米国中国が指をくわえて見ているわけもなく、米国ではBlue Gene/Q (写真はその高密度ボード)や、

 

 

 

 

 

 

 

Cray XE6/XK6(写真)が来年の一位をねらって虎視眈々としている状況です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・中国も新五カ年計画が走りだしました(写真)。

 

 

 

 

 

 

 

・このように、いやでも日本の前に強敵が現れてくる状況のため、できるだけ早く実質的な成果(アプリケーション面での成果)を多数創りだす努力と中長的期策が今後もっとも重要なことのひとつになるは間違いないでしょう。

来年の11月にソルトレークで開催することが決まったSC12の時にはどのような展開になっているのでしょうか。

(以上)

● SC11(その5)

・今日は小雨もようですが、シアトルの人はほとんど傘をさして歩きません。

・明日がGordon Bell賞の発表なので、今日は特別なイベントはなく、論文発表や講演を聞いたりしていました。

・昼には日本、中国、台湾、シンガポールなどの学生を集めたStudent Cluster Competitionの推進のためのランチョンがあり、サポートしている関係からこれにも参加しました。このスポンサーはインテルとNVIDIAです。日本からも10名以上の大学院生(すべてが日本国籍とは限らないわけですが日本語は完璧)が参加して中国からの大学院生達と相互交流を図っていましたが、これも国際会議に参加できたメリットに違いありません。

 

 

 

 

そんな中、日本からは国会版仕分けで、スーパーコンピューターに電気代などの無駄遣いがあったとかいうニュースが流れてきました。そんな重箱の隅をつっつくのは誰かに任せて、国会議員にはもっと大事なこと- 国際競争に勝つ力を維持強化する政策をぶち上げることなど-があるでしょうというのをこのSC11の場にいると実感します。

まあ、自分たちの議員数削減もしない国会議員がそれをさしおいて他の無駄を調べるというのは、何十年も高い税金を払ってきた身からはジョーク以外の何物でもなく、説得力がまったく感じられないわけですが。

(明日に続く)

● SC11 (その4)

・今日11/15 (火)がSC11のオープニングです。今年は11,000人の参加登録があったとの報告が大会会長からあり(写真)、恒例の表彰に続き基調講演にNVIDIAのCEO、Huangが登場しました。

 

 

・今日から展示が公開され、富士通のブースには赤い京をベースにした商用機のラックも陳列されています(写真)。(見学していたら親切にもラックと並んでの写真を撮っていただきました。)

 

 

 

 

 

 

 

・京の性能競争の方は快調で、今日のお昼に行われたHPC Challengeのベンチマークの発表でも4種目総なめで一位になりました。理研のブースにはさっそく賞状のコピーが展示(写真)されていました。HPC Challengeのベンチマークは4種目同時に実行させる規定のため、どういう戦略を取るかにもかかっきます。今回は作戦の方も成功したようです。またFFTの性能がダントツによく、FFTに打ち込んでいる筑波大の高橋大介准教授の貢献が印象に残りました。

 

 

 

 

 

 

・午後はGordon Bell賞の最終選考に残った、京とTSUBAMEのチームがプレゼンテーションを行い、明日の昼には勝者の発表があります。これも京のチームが勝ちそうな感じを持ちました。(写真は京のチームのプレゼンテーションのもよう。)

 

 

 

 

 

・今回中国は京の影にかくれた印象ですが、独自開発には並々ならぬ力をかけています。中国ブースに展示されている写真はつい最近発表されたBlueLightスーパーコンピューターのパネル(写真)です。

設計が中国、製造は台湾のTSMCということですが、初めて中国自主開発のプロセッサーチップ(16コア)と胸を張っていました。

 

 

 

 

 

 

・米国は10PFlopsのMiraや2oPFlopsのSequoia (ともにBlue Gene/Q)が来年中にアルゴンヌ国立研究所(ANL)とリバモア国立研究所(LLNL)に導入されるので、今日も17:30からその種のミーテイング(Birds of a Feather)が開かれていて、IBMやANL,LLNLなどの研究者などが参加していました。Blue Gene/Qが昨日発表されたあとなので、かなりの技術的内容までオープンにしながら議論をしていました。

(あすに続く)

●SC11 (その3)

・展示会場のオープニングが終わったところです。始まった時はさほどでなかった理研のブース(写真)は途中から千客万来だったようでした。さすが二回連続Top500トップとなると見る目もが違ってきます。

 
・富士通のブースでは、東大が導入を決めた京ベースの商用機PRIMEHPC FX10のラックが展示されてました。一見して京と同じ内部構造、新チップSPARC64 IXfxは16Coreに倍増したものの、ボードも一見ほとんど同じものを使っています(写真)。ただしchipの発熱が増えた分ジャンクション温度は高くなっています(50度とか)。
・NECのベクトル・プロセッサーのチップはこちらです。
システムの展示はなく、明日からのプレゼンに注目です。

 

 

 

 
・米国に目を向けるとBlue WatersとなるCrayの機種はCray XESでした。
写真はCray社のブースの展示。

 

 

 

 
・さてIBMブースですが、Blue Watersもなんのその、大勢が群がって写真をとっていたのはBlue Gene/Qの発表のせいでした。2oPFlopsのSequoiaになるシステムです。

 

 

 

 
・こういう大手の中に混じって日本の大学の展示ブースもそれぞれ個性を発揮しています。
国立大以外にも同志社大など私立大が参加していますが、これは常連の個性あふれる埼玉工大のブース。ことしも定番の埼玉工大手ぬぐいをいただきました。
(写真の配置が乱れてしまってますが、あしからず。明日に続く)

● SC11 (その2)

・シアトルは今日も曇天で、肌寒くやはり軽いコートくらいは必要な気候です。きのうUAの乗継便できたみなさんは、10時間遅れての深夜遅くシアトル到着。乗り継便が満席で空席の確保にたいへんだったようです。

・いよいよ今日月曜の18:00から展示会場のオープニングが行われ、明日8:30からのキーノートからSC11の本番が始まります。会場はコンベンションセンター(写真右)だけでなく、手前にあるシェラトンホテルや通りに隣接したTCC(The Conference Center)に分散しています。

・今日の午前はどの展示ブースも最後の準備で忙しそうでしたが、午後には一段落した様子です。

・IBMがキャンセルしたBlue Watersは、Cray社の展示ブースにBlue Watersと書かれていたのでCray社が受注したのは間違いないようです。中身はGPUを組み込んだクラスターでした。

・ベクトル・スーパーコンピューターの発売予定を発表したばかりのNECブースは例年になく力が入っている印象でした。プレゼンテーションや新プロセッサー・チップの展示も用意してあり(中身はオープニングまでは空)、どのような反響が得られるのか興味しんしんと言ったところです。

・富士通ブースも京ベースの商用機らしいのを展示していましたが、こちらもカバーがかけられてオープニング待ちの状況です。

・展示会場の入り口付近では、大学生によるStudent Cluster Competitionがすでに始まっていて、パートナー・メーカーの支援のもと、大学生が自分たちで組み立てたクラスター機の性能競争に真剣な表情で取り組んでいます。数大学が参加していましたが、日本からの出場はありません。意外に中国が熱心で、今年はGPUを使用してTOP500の一位になったことのある国防科学技術大学(NUDT)の学生がInspur社と組んで出場(写真)、さらに国立精華大学(こちらは台湾のほうの精華大)の学生もACERとNVIDIAと組んで参加していました。

(明日に続く)

●SC11 (その1)

・Deltaの直行便で、定刻1.5 Hr遅れてのシアトル到着から早一日たち、今日日曜日は時差ボケ調整日。昨日は小雨、今日は曇天に寒風というように、この季節、気候はよくないです (だからSC11のような大イベントができるということらしい)。楓とおぼしき樹木があちこちで紅葉していますが、色は黄色と赤のニ色のみ。日本の複雑な紅葉とはだいぶおもむきが異なります(写真: タコマ空港からの車窓)。

・タコマ空港からの交通便はよく、空港始発ウェストレーク終点の4両連結電車に乗って終点で降りるとホテルの間近です。料金2.75$と格安でした。日本からの出展者のみなさんも大勢乗車。

・日曜朝は通りを隔てたシアトルコンベンションセンターのSC11のレジストレーションに参加バッジを取りに行きがてら、展示会場 (4Fと6Fに分割されている)をちょっと見ましたが、富士通のようにおおきな展示をするところはまだ設営中だったりと、きょういっぱいは忙しそうです。明日月曜夜に展示会場がオープンします。京のある理研計算科学研究機構も今年は独自ブースを構え、グランドチャレンジと戦略分野のプロジェクトのパネルや京のラックなどを置いていました。

・午後は時差調整かねて、地元シアトルシンフォニーの演奏会へ。パイプオルガンのある立派な会場です。開演前の待ち時間にロビーで飲んだなみなみと注がれたワインが効いて思わず眠りそうになりましたが、演奏は普通といったところか。客席はかなりのシニア層が80%以上を占め、ホールの座席には白いマッシュルームがいっぱい生えているかのようです。日本のように白髪を染める習慣はないのだと、へんなところで感心してしまいました。(写真: 開演直前の音合わせ)

・その後波止場にあるCrab Potという蟹レストランによってきました。その帰り道、これからどこかが主催のパーティに向かう顔見知りの方とちらほらすれ違うなど、ここシアトルのダウンタウンは少しずつSC11の雰囲気になってきています。

(明日に続く)

●夏の節電対策の結果

ちょっと横道になりますが、5月に我が家の節電策のことを書いていたので、やはりその結果について報告をしないわけにはいきませんね。

・経済産業省が進める家庭の節電アクションに登録していたので7月、8月、9月の対前年比での自宅の節電量などを左図のように表示してくれました。

・これを見ると8月、9月は50%以上を削減できたため低すぎてグラフに示されていません。今年の夏が昨年ほどは暑くなかったことを差し引いても、5月に書いていた対策が十分効いたのがわかりました。

・東京電力は以前から経産省のとは独立にTEPCO電気のシェープアップカルテというサービスを行なっています。これも会員登録していたので最新の二年間のデータを毎月更新してくれています。(経産省のは夏の三ヶ月間だけ)。

左下の図がその一部ですが、棒グラフで昨年(薄い青)と今年(濃い青)に加えて、赤の折れ線で東電管内の同じアンペア契約世帯の平均値を教えてくれます。両方とも同じデータを元にしているわけですが、東京電力の方が実用的でわかりやすいです。官庁と企業のサービス精神の差?

ここでは省略していますが、もちろん使用電力量などは両者とも表示されます。

左のデータを見ると、去年は無造作に平均以上の電力を使っていたのが、ことしは平均をも下回り、相当節電できていたというのが明瞭にわかります。

・去年にくらべ今年は特別に辛抱したという実感はないことから、一般論としては、対策の効果は感にたよらず、こうしたデータを見て確認するのが肝心と言えます。

・さて懸念したとおりというか、この冬は関西電力が10%、九州電力が5%の節電数値目標を立てざるを得ないほど西の状況が厳しくなってしまいました。それ以外の電力各社には数値目標はないということです。

・しかし我が家は冬が年の電力消費のピークなので、もし25%くらい節電できれば節電絶対量としては夏の節電量と同じくらいになります。東電には売上減少になって迷惑かもしれませんが、こうした夏の節電対策が冬も効果的につづくことを密かに(?)期待しています。

●と言っている間に、京がLINPACK 10 PFlopsの目標値達成

・SC11のTOP500発表までは伏せるだろうと思っていたところ、スーパーコンピュータ京のLINPACK性能値が目標の10PFlopsを超えたことが今日理研から発表されました。詳しい内容は理研のプレスリリースに出ています。

・先週は山東省済南市でHPC China 2011があり、神威蓝光 (英語ではSunway BlueLight MPP)という中国の知的所有権によるという16コアCPU申威 (英語でShenWei processor SW1600)を使ったピーク性能1.07PFlopsのスーパーコンピューターが済南国立スーパーコンピューターセンターでお披露目されています。写真を見ると中国もけっこう大らかにチップやボードも見せています。

・神威蓝光は2011 China Top100では天河一号に続いて二位になります。

・HPC China 2011では小柳義夫神戸大特命教授がキーノートスピーチ“HPC and Computational Sciences in Japan – toward ExaFlops”をされていて、面白い現地レポートが公開中です。

中国はなんでもありの印象がありますが、HPCの分野でも最近とみに面白い感じになってきました。

(蓝光にBlueLightをあてるのは何かしまらないと思っていたら、もともとはBlueRayだったようです。これだとよくわかりますが、どうやらBlu-ray Diskと混同されたくなかったよう。)

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